白内障手術について皆様からよくいただくご質問に

『高齢でも多焦点眼内レンズは可能ですか?しない方がいいですか?』

があります。

 

『ご高齢の方でも多焦点眼内レンズにしていただいても良いと考えます。ただ、様々な理由でご高齢の方にはあまりお勧めはしていません。とお答えしています。

 

多焦点眼内レンズは『眼鏡を一切使わずに生活したい』と考えられている方に試していただく価値のある眼内レンズです。多くの方が眼鏡を使わず裸眼でほぼ生活できるようになり非常に喜ばれております。

 

ただ、ご高齢の方にはあまり積極的に多焦点眼内レンズをお勧めはしていません。その理由を以下に示します。

 

①多焦点眼内レンズへの適応能力が落ちている可能性がある

②長年眼鏡を使う生活に慣れており、眼鏡を使うことにあまり支障がない

③見る力(神経)も衰えてくるため、眼鏡をかけて100%の光で見る方が良い可能性がある

④瞳孔の大きさも小さくなり、多焦点レンズの良さを享受できない可能性がある

⑤瞳孔が小さくなることで、焦点が合う距離が伸び、単焦点でもある程度見える可能性がある

 

 

①多焦点レンズは、光を振り分けることで遠くや近くの画像が目に入ってきます。つまり遠くや近くの複数の画像の中で最も鮮明な画像を認識するように頭の中で処理する過程が必要となります。このような『脳内適応』がご年齢を重ねると難しくなる可能性があり、見え方の不具合となり得ます。

 

②多焦点レンズは『眼鏡を一切使わず裸眼のみで生活する』ことを目指したもので、それ以外に特にメリットはありません。ですので、たまにでも眼鏡を使われることに支障のない方は、単焦点レンズがより鮮明に見えるメリットがありますので、そちらがお勧めになります。

 

③目も脳も耳もそうですが、神経は少しずつ衰えていきます。耳が聞こえにくくなるように、目も弱ってくるのです。弱った神経だと、光の量が多くないと見えにくさを感じます。光を振り分けてることで一箇所の光量が減ってしまう『多焦点眼内レンズ』は見えにくさに繋がる可能性があります。

 

④ご年齢を重ねるほど、瞳孔の大きさは小さくなり、光自体が目の中に入る量が減ってきます。さらに光を振り分けて一箇所の光の量が減少する多焦点レンズは見えにくさを助長する可能性があります。また眼内レンズの構造によっては、瞳孔が大きくないとその良さを享受できないものも存在します。

 

⑤加齢により瞳孔が小さくなると、焦点深度が深くなり、見える範囲(距離)が大きくなります。目を細めるとよく見える感じになるのと同じ仕組みです。ですので、ご高齢の方は一般的に瞳孔が小さいため、単焦点レンズでも見える範囲(距離)がある程度確保できるのです。

 

以上の理由から、ご高齢の方には多焦点レンズよりも単焦点レンズが良いのではないかと考えています。ただ、ご高齢の方でも『眼鏡を一切使わず裸眼のみで生活したい』方は、デメリットを踏まえた上で、試す価値はあると考えていますし、見え方の質が高くデメリットのほぼ無い多焦点レンズも最近は開発されています。

 

 

 

白内障および白内障手術については、当院ホームページの各項目や、『院長ブログ』に『よくあるご質問』としてまとめさせていただいております。また『福岡白内障専門サイト』に動画を交えてご案内もさせていただいております。個別のご相談がございましたら、ホームページの『お問い合わせ』からメールを頂けましたら、数日以内に回答させていただきます。ご来院・受診していただけますと、目の状態も含め、直接お話させていただきたいと思います。

 

 

※『白内障手術についてよくあるご質問』: 

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