多焦点眼内レンズとは
従来の単焦点眼内レンズは、どこか1ヶ所にピントが合いますが、その位置から離れると見えにくくなり、眼鏡が必要になります。多焦点眼内レンズは、遠くも近くも両方見えるため、眼鏡があまり必要にならなくなります。皆様の生活スタイルや趣味、お仕事などによっても、メリットとデメリットがありますので、是非ご相談の上、最適な眼内レンズの選択を決めていきましょう。
単焦点レンズ | 多焦点レンズ | |
---|---|---|
見え方 | 「遠く」または「近く」の どちらか一方がよく見える |
「遠く」と「近く」の 両方がある程度よく見える |
メガネ | 必要 | あまり必要ではない |
保険 | 保険適応 | 自由診療・選定療養・保険適応 |
料金(片眼) | 1割負担:約15,000円 3割負担:約45,000円 |
自由診療:50~60万円 選定療養:30~36万円 保険適応:左記と同様 |
適している方 |
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- 『選定療養』とは、日本で認可された多焦点レンズにおいて一部保険適応となり、自由診療と比較して費用が抑えられる制度です。
- あくまで一般論ですので、個別にご相談ください。
多焦点眼内レンズの見え方
単焦点眼内レンズの見え方

通常の単焦点レンズでは、一点にピントが合いますが、それ以外にはピントが合わず、眼鏡が必要になります。
右図のように遠くにピントが合っている場合には、近くはぼやけるため、老眼鏡が必要です。
多焦点眼内レンズの見え方

多焦点レンズでは、完全にあらゆる距離にピントが合うわけではありませんが、遠くも、比較的近くもよく見えます。眼鏡を使う頻度はかなり減ります。
一方暗い場所では光が少し散乱し、光の周辺に輪がかかって見える(ハロー・グレア現象)を自覚しやすくなります。
最近ではハロー・グレア現象のほとんどない見え方の質の高い多焦点レンズも開発されています。
ハロー・グレア現象
右図のように、光の周りに輪が見えるような状態になりますので、夜間の運転などには少し支障がでる場合があります。

多焦点眼内レンズの種類
日本で認可されていないものも含め、数多くの多焦点レンズが存在します。下記が現時点で当院で取り扱いのあるレンズです。
レンズ外観 | ![]() |
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レンズ名 | Intensity インテンシティ |
Clareon Vivity クラレオン ヴィヴィティ |
Clareon PanOptix クラレオン パンオプティクス |
Tecnis Synergy テクニス シナジー |
Fine Vision HP ファインビジョン エイチピー |
Lentis Comfort レンティスコンフォート |
デザイン | 5焦点 | 焦点深度拡張型 | 3焦点回折型 | 2焦点回折型 +焦点深度拡張 |
3焦点回折型 | 文節状屈折型 |
特徴 | 5つの焦点を持ち、自然な見え方を追求したレンズ。光学的ロスが非常に少なく、グレア・ハローも少、バランスに優れる。 | 単焦点とほぼ同等の鮮明度、グレア・ハローや不適合のもほぼ無し。見え方の質が最高レベル。やや近方に弱い。 | 3焦点を有し、パソコン~近方の見え方に強い。ハロー・グレアは少しあり。バランスの取れた汎用性の高いレンズ。 | 回折型と焦点深度拡張型の融合。幅広い焦点域を有し、近方に強い、ハロー・グレア少しあり。 | 3焦点を有し、幅広い焦点域を有し、光学的ロスも少なく、ハロー・グレアも少。近方に最も強い。 | 多焦点で唯一保険適用、費用が抑えられる。グレア・ハローはほぼなく、鮮明度も高い。遠方に合わせると近くは見えにくい。 |
ピントの数と位置 | 5焦点 (遠方、133cm、80cm、60cm、40cm) |
焦点深度拡張 (遠方~ 約 66cm) |
3焦点 (中間約 60cm 近方約 40cm) |
連続焦点 (遠方~ 近方約 35cm) |
3焦点 (中間約 80cm 近方約 33cm) |
2焦点 (遠方~ 約 75cm) |
ハロー・グレア | 非常に少ない | ほぼなし | やや少ない | やや少ない | 少ない | ほぼなし |
コントラスト感度 | ◎ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ |
乱視矯正 | ◯ | × | ◯ | ◯ | × | ◯ |
日本での認可 | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
費用(税込) | 自由診療 60万円 |
選定療養 保険費用+31万円 |
選定療養 保険費用+31万円 |
選定療養 保険費用+30万円 |
選定療養 保険費用+31万円 |
保険適応 3割:約4万5千円 |
製造メーカー | Hanita_lenses (イスラエル) |
Alcon (アメリカ) |
Alcon (アメリカ) |
PhysIOL (ベルギー) |
BVI (アメリカ) |
Oculentis (オランダ) |
多焦点レンズの費用の詳細
種類 | 構造 | 費用総額 | |
---|---|---|---|
インテンシティ | 5焦点 | 自由診療 | 60万円 (乱視用:+5万円) |
ヴィヴィティ | 焦点深度拡張 | 選定診療 | 1割負担:約33万円、 3割負担:約36万円 |
クラレオン パンオプティクス | 3焦点 | 選定療養 | 1割負担:約33万円、 3割負担:約36万円 (乱視用:+3万円) |
テクニス シナジー | 連続焦点 | 選定療養 | 1割負担:約32万円、 3割負担:約35万円 (乱視用:+3万円) |
ファインビジョン HP |
3焦点 | 選定診療 | 1割負担:約33万円、 3割負担:約36万円 (乱視用:+3万円) |
レンティスコンフォート | 2焦点 | 保険診療 | 1割負担:約1万5千円、 3割負担:約4万5千円 |
- 選定療養とは、追加費用を負担することで保険適応の治療と保険適応外治療を併せて受けることができる制度です。 日本で認可された多焦点眼内レンズは選定療養の対象となり、他の多焦点レンズと比較して費用をかなり抑えることができます。
眼内レンズの選び方
新しい多焦点眼内レンズの出現で、その選択の幅が遥かに広がりました。これは患者さんにとって素晴らしい進歩ですが、その分レンズの決定には個人に合わせた慎重さが求められ、高い手術精度も求められるようになっています。
みやざき眼科では、患者さんひとりひとりの生活スタイルに出来るだけ合わせられるように、十分な話し合いの上眼内レンズを選択し、高いレベルの手術で皆様の生涯の見え方を快適なものにするために全力を尽くします。
是非お気軽にご相談ください。
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