比較的頻度の高い症状の一つに『飛蚊症』があります。今回は『飛蚊症(硝子体混濁)』の病態とその手術についてお話します。

 

基本的には

①急に増えた飛蚊症は、網膜剥離など悪い疾患の可能性があり、迅速な眼科受診をお勧めします

②消退しない『飛蚊症』は、お困りでしたら手術が可能です(ただし50歳代以降の老眼の方のみ)

ということになります。

 

 

【飛蚊症(硝子体混濁)とは】

飛蚊症とは、病気の名前ではなくて、『症状』の名前です。『蚊が飛んでいるように見える』状態のことで、基本的には目の中の空間(硝子体)に線維性組織や細胞成分などの何らかの濁りが存在し、その影が見えている状態です。

 

急に出現した飛蚊症の一部には『裂孔原性網膜剥離』等の悪い疾患から生じる場合があり、迅速な眼科受診をお勧めします。飛蚊症の多くは生理的飛蚊症と言われる、悪い病気や異常からではない飛蚊症になります。比較的大きな飛蚊症の場合、後部硝子体剥離という目の中の加齢変化で「輪のような、たばこの煙のような」見え方を生じる、ワイスリング(weiss ring)が見えている可能性があります。

 

この飛蚊症の原因となる目の中の濁りが、比較的大きかったり、網膜の中心部に近い場所に存在すると、見え方を邪魔したり、気になってストレスになることがあります。悪いものではないですが、お困りでしたら手術やレーザーが可能です。

 

 

 

【左:飛蚊症の見え方の種類  右:飛蚊症の病態(目の断面図)】

目の中(硝子体)の濁りにより様々な飛蚊症の見え方を生じます。

 

 

【治療:手術(硝子体手術)】

◆手術時間は10-15分程度です

◆局所麻酔で、手術中に痛みを感じることはほとんどありません

◆日帰りで可能で、翌日からお仕事も可能です

 

手術は『硝子体手術』です。目の中の濁りと硝子体(ゼリー)を除去します。飛躍的に進歩した最新の手術機器・器具により合併症もほとんど無くなり、比較的安心して受けていただける手術となっています。翌日にはお仕事もして頂いて良く、術後の安静もほぼ必要ありません。ただ、手術には併発症の可能性もありますので、メリット・デメリットを踏まえて考える必要があります。

 

※一般的に手術のリスクは低いのですが、硝子体手術後に『白内障』になってしまう可能性が比較的高くあり、特にお若い方の場合、高性能なご自身の水晶体を取り替えて調節力を失うこととなり、逆にさらに困ることになります。ですので、40代までの方には手術は行っておりません。『50歳代以降の老眼になっている方のみ』手術が可能となります。また、手術をしても飛蚊症が残る可能性はあります。

 

※また、生理的飛蚊症は病気ではないため、手術費用はすべて自費となります。

 

 

 

 

【治療:レーザー】

原因となっている硝子体の中の濁りをYAGレーザーで照射して、細かく砕く方法です。

比較的簡便ですが、濁りの場所や大きさによっては治療の適応にならないこともあること、またすべての濁りが取れるわけではなく、細かく砕くイメージです。保険は適応されず、自由診療になります。

(※当院ではレーザーでの治療は行っておりません)

 

 

 

ご質問等ございましたら、『お問い合わせフォーム』からメールをいただきましたら数日中にお返事させていただきます。また受診されましたら、ご自身の病状も含めて詳しくお話させていただきます。お気軽にご相談ください。また硝子体手術に関する方法や費用などについては、『日帰り硝子体手術』にてご確認できますので、そちらもご利用下さい。

 

【お問い合わせフォーム】

https://miyazakiganka.net/contact/

【日帰り硝子体手術】

https://miyazakiganka.net/vitreous/