網膜に生じる比較的頻度の高い疾患の一つに『黄斑円孔』があります。今回は『黄斑円孔』の病態とその手術についてお話します。

 

基本的には

黄斑円孔と診断された場合、ある程度早めの手術をお勧めします

ということになります。

 

 

【黄斑円孔とは】

黄斑円孔とは、網膜の中心に穴が開いてしまう病気です。後部硝子体剥離という目の中の加齢変化に伴って生じます。大事な網膜というフィルムの中心に穴が開きますので、見たい中心部分が見えにくくなったり、歪んで見えたりします。穴は徐々に大きくなることが多く、見え方もさらに悪くなっていきます。有効な薬剤はなく、穴を塞ぐための手術が唯一の治療となります。

【光干渉断層計(OCT)による網膜断面図 左:正常 右:黄斑円孔】

通常は左図のように網膜の中心部は陥凹しているものの繋がっているが、黄斑円孔では右図のように中心部に裂け目(孔)が生じている。

 

 

【当院における黄斑円孔の治療の考え方】

どこの傷もそうですが、早めに治療(手術)を受けられるほど、治る可能性も高く、最終的により良い見え方になります。黄斑円孔と診断された時は、数日単位ではありませんが、1~2週間以内には手術を受けられることをお勧めします。

 

また黄斑円孔の手術では、手術終了時に眼内に空気やガスを充填します。これらの気体が目の中にあることにより、治癒率が上昇します。従来はこの気体を浮力で黄斑部(穴の開いた場所)に当てるために、数日の『うつぶせ』が必要と言われていましたが、うつぶせの体勢を続けることは非常に辛く、患者さんに苦労を強いるものでした。当院では手術の段階で可能な限り穴が塞がりやすいように処置を施し、ほとんどの場合『うつぶせ』をしない方針としています。状態によっては翌日からお仕事などをしていただいても良いと考えています。

 

 

【実際の手術(硝子体手術)】

◆手術時間は20分程度です

◆手術終了時に、穴が塞がりやすいように眼内に空気やガスを充填します

◆日帰り手術で、ほとんどの場合術後に『うつぶせ』は必要ありません

 

手術は『硝子体手術』です。目の中の硝子体(ゼリー)を切除した後、ブリリアントブルーG(BBG)等の安全かつ特異的な染色剤を用いて黄斑部の『内境界膜』を剥離し、円孔の閉鎖率を上昇させます。眼内合併症が無いことを確認し、病状に応じて空気や膨張ガスなどを眼内に充填して手術は終了です。飛躍的に進歩した最新の手術機器・器具により合併症もほとんど無くなり、比較的安心して受けていただける日帰り手術となっています。

 

 

【硝子体手術における内境界膜(ILM)剥離の実際の画像(左図)とイメージ図(右図)】

黄斑円孔に対する硝子体手術において、円孔閉鎖率を飛躍的に向上させる内境界膜(ILM)剥離手技。ブリリアントブルーG(BBG)による安全な染色により透明なILMを可視化し、安全かつ効率的なILM剥離が可能となっている。

 

 

【術後の経過と視力予後】

術直後は麻酔が切れると目のゴロゴロや軽い痛みは感じますが、多くは数日で症状は軽減します。

 

目の中に空気やガスがある状態では、その気体が見え方を邪魔するため、術後数日はほとんど見えません。空気やガスが水に溶けていくと視界が広がって見えるようになります。ほとんどの場合術後の『うつぶせ』は必要なく、術後数時間~2日程度で円孔は閉鎖します。円孔閉鎖後、徐々に視力は改善していき、3-6ヶ月程度で落ち着きます。一般的な円孔閉鎖率(治癒率)は90%以上と言われていますが、比較的初期の黄斑円孔の場合ほぼ100%の円孔閉鎖率が得られます。円孔が閉鎖しても、一度障害を受けた網膜(神経)は多少後遺症を残すため見え方は完全には戻りませんが、生涯できるだけ良い視力を維持するために、早期の手術をお勧めしています。

 

ご質問等ございましたら、『お問い合わせフォーム』からメールをいただきましたら数日中にお返事させていただきます。また受診されましたら、ご自身の病状も含めて詳しくお話させていただきます。お気軽にご相談ください。また硝子体手術に関する方法や費用などについては、『日帰り硝子体手術』にてご確認できますので、そちらもご利用下さい。

 

 

【お問い合わせフォーム】

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【日帰り硝子体手術】

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