硝子体手術が適応となる疾患の一つに『眼内レンズ脱臼・偏位・落下』があります。今回は眼内レンズ脱臼・偏位・落下の病態と、その手術についてお話します。

 

基本的には、

①眼内レンズが脱臼・偏位すると見え方に影響するため、早めの手術をお勧めします

②眼内レンズが落下すると、網膜への影響や、手術の難易度が上がるため、その前の手術がお勧めです

と考えます。

 

 

 

【眼内レンズ脱臼・落下とは】

 

眼内レンズ脱臼・落下とは、白内障手術を受けられて目の中に人工の眼内レンズが入っている状態で、その眼内レンズが正常の位置ではなく、脱臼・偏位(ずれていたり)、落下(目の中に落ちている)状態です。レンズが正常な位置にないため、見え方が悪くなるのが一般的です。

 

多くの原因は、眼内レンズが入っている袋(水晶体嚢)と眼球壁をつないでいるチン氏帯(固定の紐のようなもの)が弱くなったり、切れたりすることによるものです。

 

【眼内レンズ脱臼の前眼部写真】

眼内レンズが、それを包んでいる水晶体嚢とともに正常の位置からズレている状態を示している。

 

 

 

【眼内レンズ脱臼・落下の治療】

 

◆見えにくくて困るようであれば手術を検討

◆入っているレンズを固定するか、レンズを取り出して新しいレンズを固定するか

◆固定の方法は、縫着術または強膜内固定術

 

 

目の中の眼内レンズは、ズレ(偏位)が僅かであればほとんど見え方は変わりません。高度にズレたり、目の中に落下すると見え方が悪くなり、また落下した眼内レンズは大切な網膜(神経)に傷害を与える可能性もあるため、視力改善と合併症予防のため手術を検討します。

 

正常な位置に固定するレンズは、目の中にあるレンズをそのまま固定する場合と、レンズを取り出して、新しいレンズを用いる場合があります。比較的多くの場合、目の中のレンズは固定するのに適していないため、新しい固定用眼内レンズを使用することが多いです。

 

固定方法は、従来の糸を用いた縫着術、もしくは糸を使わない固定法(強膜内固定術)のどちらかとなります。どちらにも一長一短あり、目の状態なども含めて総合的に判断しますが、近年目への侵襲が少ない強膜内固定術が主流になっています。

 

 

 

【実際の手術】

 

◆手術時間は30分~1時間程度です

◆局所麻酔で、手術中に痛みを感じることはほとんどありません

◆多くの場合、現在のレンズを摘出し、新しい固定用レンズを挿入します

 

 

手術は『硝子体手術』を併用します。目の中の硝子体(ゼリー)を必要に応じて切除した後、多くの場合、目の中の眼内レンズを摘出し、新しいレンズを固定します。飛躍的に進歩した最新の手術機器・器具により合併症もほとんど無くなり、比較的安心して受けていただける手術となっています。

 

 

【術後の経過と視力予後】

術直後は麻酔が切れると目のゴロゴロや軽い痛みは感じます。通常の硝子体手術よりも創が多いため症状はやや長期続きますが、いずれ軽快します。

 

眼内レンズの出し入れなど、目の手術としてはやや侵襲が大きいので、視力回復まで少し時間がかかる可能性があります。レンズは2点で固定するため、軽度の傾きを生じ、乱視による見えにくさを生じる可能性があります。

 

 

ご質問等ございましたら、『お問い合わせフォーム』からメールをいただきましたら数日中にお返事させていただきます。また受診されましたら、ご自身の病状も含めて詳しくお話させていただきます。お気軽にご相談ください。また硝子体手術に関する方法や費用などについては、『日帰り硝子体手術』にてご確認できますので、そちらもご利用下さい。

 

 

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